Mar 15, 2011
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2011年6月末に迎える米国のQE2(量的金融緩和第2弾)の終了は、リーマン・ショックへの対応で始まった異例の超金融緩和期の終結を象徴している。ただ、足下では米国経済の減速懸念も再燃しており、欧州でギリシャ等の債務問題、資源価格も乱高下するなど、依然として世界経済が抱える火種はくすぶっている。転換期にある現在、今後の投資戦略(ストラテジー)を各分野の専門家に聞いた。
岡三証券投資戦略部アジア情報グループ副主任の濱崎義徳氏は、「これまで中国株価の頭を抑える重石だった金融引き締めに打ち止め感が出てきそうだ。景気刺激的な政策も目立ち始めてきていることから、早ければ7月末くらいから、株価が上値に向かうような動きに転じるのではないか」と見通す。内需関連、エネルギー・資源、カジノ、個人消費関連などを注目セクターとした。
――中国株式市場の頭を抑えている金融引き締めについて、今後の見通しは?
中国のCPIは、5月に前年比5.5%だったが、6月は6%を超えてくるものといわれており、足元はインフレ率が高止まりする。人民銀行は物価上昇によって実質金利がマイナスになっている異常な事態を早く正常化させたいと言っており、6月の数値発表と相前後して6月末−7月頭に0.25%の利上げを実施するとみている。簡単に金融緩和への舵取りはできないが、今回の利上げで、ひとまずは金融引き締めに打ち止め感がでてくると見る。景気の減速が確認されており、今後は景気に配慮した政策にシフトするだろう、
実際にインフレ率は、昨年8〜10月以降にCPIの数値が上昇しているという発射台効果も出てきて、8月以降は落ち着いた値動きとなり、年末にかけては、利上げの心配は大幅に後退するだろう。
一方、インフレについては、5月のCPIが5.5%と34ヶ月ぶりの高い伸び率を示した。食品インフレがけん引しており、なかでも豚肉の押し上げ効果が全体の20%程度を占めるなど、突出していた。6月下旬に中国国家発展改革委員会が、同委員会のホームページで物価高に関する一問一答のQ&Aを掲載している。これほど詳細に説明することは過去になかったことなので注目できる。
発展改革委員会の一問一答でも主要な要因の一つとして、豚肉の値上がりについて触れられている。(屠殺前の)豚の全国平均出荷価格は6月第2週までに、昨年キロあたり9.8元だったものが、17.6元に大幅に値上がりしている。養豚業者は豚の売値と飼料などの飼育コストが6対1で損益分岐点になる。飼料の価格上昇、人件費の高騰などによって利益が圧迫され前年同期の9.8元にまで落ち込んだ結果、比率が4.8対1となり多くの業者が廃業した。現在は7.7対1の水準にまで価格が上昇したことで、養豚業に対しインセンティブが高まっているため、新規参入により今後はCPIへの影響は徐々に緩和されていくだろう。
また、長江の旱魃の影響で、長江下流域の野菜栽培に悪影響を与えたこと、水量不足で水力発電所が稼動せず、電力不足に陥ったが6月以降の降雨で干ばつの問題は解決された。政府機関が、これほど丁寧に状況説明をしているのは、インフレリスクをコントロールできていることに対する自身の表れだと見て取れる。
インフレがコントロールできていることに確信が持てれば、中国は徐々に景気配慮型の政策を打ち出し、中国の株価に上昇機運も出てくると見ている。
――たとえば、どのような政策? また、中国の株価の方向性は?
たとえば、銀行業監督管理委員会は市中の銀行に預貸率を毎日報告するように求めているが、その貸し金には中小企業の資金繰りのための貸し出しは含めなくても良いと言っている。今後は預貸比率の緩和も検討されるだろう。あるいは、中国で個人の所得税について、課税最低賃金を2000元から3000元に引き上げる議論がなされている。また、所得税の累進課税の最低税率を現在の5%から3%に引き下げる案も出ている。これらは、内需主導型経済への転換を目指して、個人の可処分所得を引き上げる効果があり、景気にはプラス方向に働く。
中国は世界の中でも早いタイミングで金融引き締めに転じた。2009年秋以降に中央銀行手形による資金吸収、窓口指導、また、預金準備率の引き上げや利上げを繰り返してきた。そのような金融引き締めが、株式市場の重石として働いてきた。それが、景気刺激策が出始めたことで、徐々に株価は重石が外れるような動きになってくると見ている。早ければ7月末ごろから動意付き、来年10月の党大会に向けた景気浮揚を先取りするように動くと期待できる。
――具体的な注目セクターは?
第12次五カ年計画の初年度に当たり、計画が示す内需拡大策に関連する企業は注目できる。今年は保障性住宅を1000万戸建築することになっているが、6月には3割強程度しか着工されていないことが明らかになっている。これは、地方政府の財政難によるものだったが、資金調達のための地方債の発行が認められたことによって、今後の着工が加速するだろう。関連銘柄としては、セメント大手、大手建機メーカーなどに注目。
また、エネルギー・資源関連も面白い。電力不足が深刻だ。背景には本業の採算性が悪化したことによる電力会社の設備投資不足がある。中国は電力需要が年率15%増くらいで増大しているが、ここ数年の発電能力の伸び率は一部地域で5%前後に止まるなど需要拡大に供給が追い付いていない。南部の一部地域では電力の供給制限を行っている。発電所設備大手、石炭大手、石炭採掘機械などが注目される。
カジノ産業の好調も際立っている。カジノ産業の収入は今年3−5月に連続して過去最高を更新。2011年5月の月間収入は245億パタカ(約2450億円)に達した。マカオへの交通アクセスの整備も順次進んでおり、当面は、この活況が止まらないだろう。また、内需拡大政策の恩恵を受け、消費関連も活躍余地は大きい。たとえば、都市部では作業着にスニーカー姿だった女性労働者が、スーツにパンプスになって街を闊歩している。アパレルなど、こうした旺盛な個人消費に支えられる企業群の成長は続くだろう。(編集担当:風間浩)
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